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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター




『……学校の宿題でね、将来なりたいものを書かなくちゃいけなくて。でも、なりたいものなんてできたことないから。みんなは看護師さんとかケーキ屋さんとか書いてるのに、私だけなくって。それって、変なのかなあって』

「……変じゃないよ。人生は長いんだから。なりたいものなんて、その長い人生を歩んでいくうちに決めればいいでしょう。どうせいま看護師さんやケーキ屋さんになりたいなんて言ってる子達だって、一年後や二年後にはなりたいものなんて変わってるよ」

『そうかなぁ?』

「そうだよ。変なんかじゃない。零は零。他人のことなんて気にしないで。そのままでいい。なりたいものなんて、ゆっくり決めていけばいいんだから」

『そっか……ありがとう、天……っ!元気出た!…でも、何か書かないといけないんだって……。どうしようかな…』

「……そうだね。なら、とっておきがあるよ」

『とっておき?』


瞳をまん丸にして、訊ねる零に。

ボクは、とっておきを教えた。


「ボクのお嫁さん」

『……天のお嫁さん?』


きょとん、としながら聞き返す零に、ボクは照れ臭いのを隠すようにして続けた。


「……キミはわがままだし、弱虫だし、キミのことを幸せにしてあげられるのなんて、ボクしかいないと思うよ」

『うっ……。…じゃ、じゃあ、天が……私を幸せにしてくれるの?』

「うん。……ねえ、零。約束するよ」

『約束?』

「そう。ボクがキミを世界で一番幸せにするっていう、約束。ボクにしか出来ない事で、キミをいっぱいいっぱい笑顔にして、誰よりも幸せにしてあげる。だから」




―――だから。




「……いつか、ボクが夢を叶えることができたら。その時は―――……ボクの、お嫁さんになってくれる?」




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