第3章 交錯する想い
『WEB番組にはまってまーすとかいって、さりげなく、初めてできた後輩アイドルが番組始めるらしくてー、なんて話題にすれば、割と広がりそう。百は男の子の新人アイドル好きだし』
うんうん、と納得しながら、パピコを啜る零。
六人は、きらきらとした眼差しでそんな彼女を見つめている。
「い、いいんですか!?!?」
「まさかRe:valeさんと零さんに宣伝してもらえるなんて……こんなチャンスないですよ……ラッキーすぎて恐ろしくなります……」
「で、でもさ、零ねぇ、そんなことして、贔屓目に見てるとかやらせとか言われない?」
興奮する紡と一織に続いて陸が心配そうに聞けば、零は眉を下げて笑いながら言った。
『同じ事務所の後輩、贔屓目に見て何が悪いの。私やRe:valeが宣伝したところで、売れない人たちは売れないよ。陸たちがこの事務所に入ったこと、IDORiSH7っていうグループになったこと、今偶然仕事終わりの私に会ったことも今日テレビの収録だってことも、全部IDORiSH7の前に降ってきたチャンスじゃんっ。チャンスは出来る限り全部掴んで、最大限に生かしていかなきゃ。私なんか利用してやるくらいに思えばいいんだよ!』
零の言葉に、一同はごくりと息を飲む。
「……零ねぇ、やっぱすっげーかっこいいよ」
ぽつり、と陸が感嘆の声を漏らす。感動するメンバーと共に、紡が深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます……!よろしくお願いします……!!」
『だから、堅苦しいのはいいってば……!』
照れるように、零はパピコをくわえたまま机に突っ伏した。
嬉しそうに喜びはしゃぐ、自分にとって初めてできた後輩を横目で見ながら、零はふ、と微笑んだ。
『(後輩の世話焼きたがる百の気持ち……ちょっとわかったような気がする)』
そんなことを思いながら、残りのパピコを喉の奥に押し出した。