第12章 未完成な僕ら
「馬鹿……っ!零の馬鹿……馬鹿!馬鹿!本っ当馬鹿!!……零が電話に出てくれなくて、了さんの家に向かってるとき、零にもし何かあったらって…考えただけで、息がうまくできなかった……生きてる心地がしなかった……っ」
『……っ……ごめ……』
「許さない!絶対許さないよ……っ!どれだけ心配したと思ってんだよ……零は全然わかってない……、オレがどれだけ零を愛してるか、どれだけ大切に思ってるか……。何が役立たずだよ……零の存在にどれだけ救われてると思ってんだ……!もう、二度とこんなことしないで……二度と、オレから見えないところに行かないで……!!」
『ごめんなさい……。……うん、約束する……。だから、百も約束してっ……もう二度と、私と千ちゃんに黙って危険なことはしないって……』
ぼろぼろと涙を流しながら頷く百の背中を、同じくぼろぼろ涙を流す零がぎゅっと抱き締め返せば。
ふと、後ろから声がした。
「――あの……そろそろいい?」
突然聞こえてきた聞き慣れた声に、百と零が慌てて顔をあげれば。
そこには、金属バットを持った千が立っていた。
「『ユキ!?/千ちゃん!?』」
「……今更?さっきからずっといたんだけど。水曜深夜1時からの恋愛ドラマを見せられてる気分」
「……そこは月9って言ってよユキ……ていうか、どうしたの!?その金属バット……」
「悲鳴が聞こえたら、助けに行こうと思って」
『千ちゃんが?金属バットで?』
「………」
「………」
『………』
三人は顔を見合わせてから、吹き出した。
「……っ、はは……!」
「……っ、くくっ……」
『ぷっ……、っあはは……!』