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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第12章 未完成な僕ら




「馬鹿……っ!零の馬鹿……馬鹿!馬鹿!本っ当馬鹿!!……零が電話に出てくれなくて、了さんの家に向かってるとき、零にもし何かあったらって…考えただけで、息がうまくできなかった……生きてる心地がしなかった……っ」

『……っ……ごめ……』

「許さない!絶対許さないよ……っ!どれだけ心配したと思ってんだよ……零は全然わかってない……、オレがどれだけ零を愛してるか、どれだけ大切に思ってるか……。何が役立たずだよ……零の存在にどれだけ救われてると思ってんだ……!もう、二度とこんなことしないで……二度と、オレから見えないところに行かないで……!!」

『ごめんなさい……。……うん、約束する……。だから、百も約束してっ……もう二度と、私と千ちゃんに黙って危険なことはしないって……』


ぼろぼろと涙を流しながら頷く百の背中を、同じくぼろぼろ涙を流す零がぎゅっと抱き締め返せば。

ふと、後ろから声がした。



「――あの……そろそろいい?」


突然聞こえてきた聞き慣れた声に、百と零が慌てて顔をあげれば。

そこには、金属バットを持った千が立っていた。


「『ユキ!?/千ちゃん!?』」

「……今更?さっきからずっといたんだけど。水曜深夜1時からの恋愛ドラマを見せられてる気分」

「……そこは月9って言ってよユキ……ていうか、どうしたの!?その金属バット……」

「悲鳴が聞こえたら、助けに行こうと思って」

『千ちゃんが?金属バットで?』

「………」

「………」

『………』


三人は顔を見合わせてから、吹き出した。


「……っ、はは……!」

「……っ、くくっ……」

『ぷっ……、っあはは……!』


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