第12章 未完成な僕ら
「モモは僕との約束を破ったからね。僕の夢が叶った暁には、ユキはすみやかに骨粉コース。零は僕の玩具コースだよ。首輪でつないで一生僕の可愛いペットさ」
「……約束じゃなくて脅しの間違いだろ?なんつって!わかった、こうしよう。土下座します」
「モモは平気で土下座しそうだからなあ。あんまり、レア度が高くないよ」
「馬鹿にすんなよ。今まで一人にしかしたことない」
「誰に?」
「……ユキさん。歌を止めないでってお願いした時」
「その話は聞いたことがないな!モモの土下座話を聞かせてくれたら、僕の気が変わるかもしれないよ」
「………」
「まずは乾杯しよう。零、モモもグラスを持って。シャンパンの前に、月夜の竜舌蘭から生まれたテキーラからといこうか。過去と現在と未来が混ざり合う。乾杯」
三人は持ったグラスをそれぞれ小さく掲げた。
いち早くテキーラを喉に流し込んだ百が、零の手からショットグラスを取り上げる。
『あっ』
「零は飲まなくていいよ。貸して」
『平気だよ、一杯くらい』
「駄目。お酒弱いんだから、おとなしくしてて」
そういって百は零の分のテキーラまで喉に流し込むと、ショットグラスを二つテーブルの上にどん、と置いた。
「ワオ!男前! さあ、早く話してよ、モモ。土下座したときの気分はどうだった?みじめだった?悔しかった?泣きたくなった?真っ赤な舌を出してた?」
「オレが何もあげるもん持たないのに、こうしてくださいっていうのを一方的に懇願するから、土下座するんでしょ。舌なんか出さないよ。今から、了さんにする時もさ」
「へえ。どうして、懇願したんだ?アイドルになりたかった?千を利用すれば、売れると思った?」
「そう思われても仕方ないけどね。実際、何度も言われたし。でも…オレは、ただ、あんな形で終わるRe:valeを見たくなかっただけだよ」
そう言ってから百は、ゆっくりと語り始めた。