第12章 未完成な僕ら
「そうか!それはよかった!でも、言っただろう、モモ。君はもういらないって。零が君の代わりになってくれるんだ」
了の言葉に、百は引き攣った笑みを浮かべながら口を開いた。
「駄目だよ、了さん!ひどいなあ、オレ達の付き合い、もう何年になると思ってんの?さすがのオレでも怒るよ!」
「モモが怒ってもあんまり怖くないなあ。今日はせっかく零と僕との仲を祝うパーティなのに。零のために焼いた肉が冷めてしまうよ」
了の言葉に、百は掴んでいた零の腕をぐいっと引っ張り、自分の後ろに隠すように立たせた。
「そんなことよりさ、もっと楽しいことしようよ!了さんにお土産買ってきたんだ!玄関にぶん投げてきちゃったけど、了さんの好きなおままごとセット!それで遊ぼう!」
「わあ!素晴らしいな!マジックテープで合体した食べ物の玩具ってたまらないよね!何が最高かって、新種を作れることさ!」
「喜んでもらえてよかった!了さんさ、美味しいごはんや、おままごと好きなら、シェフになるのはどう?自分だけのレストランを持つんだ!きっと、芸能事務所の社長より素敵だと思うなー!」
「芸能事務所もレストランみたいなものさ!人間に味付けして皿にのせて出すんだからね!」
「そっかー!」
『………』
「じゃあ、プレゼント第二弾!化石採掘セットはどう!?砂の塊を削って行くと、化石が出てくるんだって!」
「最高だよ、モモ!冒険心と探究心をくすぐられるね!!」
「ねえ、了さん。エジプトかどこかへ飛んでいってさ、遺跡を掘るっていうのはどうかな!?誰も知らない王様の墓を見つけて、歴史に名前を刻むんだ!最終的にナイル川で行方を絶つのもあり!ね!わくわくしない!?」
「芸能事務所も発掘作業のようなものさ!砂漠に埋もれたミイラを掘り出して、丁寧に包帯をほどいて、スターにするんだ!ところで今度、僕の社長就任パーティがあるんだ。モモも来る?勿論、零は来るよね?」
「あはは……。社長なんて退屈だよ。大変だし、忙しいし、責任は重大だし、社長室にいなきゃいけないでしょ?」
「百がお土産にくれた玩具を社長室に置くよ。心配しないで」
「………」
了の言葉に、百は零の腕をぎゅっと強く握った。