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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第12章 未完成な僕ら




「やあ!よく来たね、零!待っていたよ!」



いかにも高級そうなマンションの一室。
何処か薄暗い雰囲気の室内を見渡してから、零は「お邪魔します」と言って靴を脱ぎ、丁寧に並べた。


「いやあ、君と二人でこうして乾杯ができるなんて夢のようだ。今日は零のために、最高級のシャンパンと肉を用意したよ。ほら、座って」

『……失礼します……』

「余所余所しいなぁ。モモはもっと懐っこかったよ?子犬みたいに。モモの代わりになるんでしょ?ほら、了さんって言って尻尾を振ってごらん。できないなら、鉄で出来た首輪をつけちゃうよ」

『………』


零は俯いてから、すう、と小さく深呼吸をしてから、満面の笑みをしてみせた。


『……了さんっ!』

「あはは!最高に可愛いなあ!モモがあそこまで君に入れ込むのもよくわかるよ!このまま手錠をかけてクローゼットに監禁して、閉じ込めてしまいたいくらい」


そう言った了の口元は弧を描いているのに、目は笑っていない。
背筋がぞっと凍るのを感じる。けれど、これくらいで怯んでちゃいけない。
百が今までやってきてくれた事に比べたら、こんなのどうってことないはずだ。


零は目一杯のアイドルスマイルで、目の前の男に向かってほほ笑んだ。


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