第12章 未完成な僕ら
そんなことを考えて吐き気を催していれば。
ラビチャの通知音が鳴った。
零からかな?なんて期待しながら画面を見てみれば、相手は了からだった。はあ、とため息を溢してから、内容に目を通せば。
<モモの代わりが見つかったんだ。代わりどころじゃない、最高の玩具だ。だからもう約束を破るような友人はいらない。モモも、千もね!バイバイ>
一瞬、呼吸ができなくなる。
―――代わりって? 最高の玩具って?
ふと、零の顔が脳裏を過る。
嫌な予感に、背筋が凍る。
スマホを持つ手が震えて、頭の中が真っ白になる。
慌ててそのまま了に電話を掛ける。何度掛けても、やっぱりつながることはない。零に電話を掛けても、やっぱりつながらなくて。
震える指を無理矢理動かして、慌てて万理に電話を掛けた。
《はい、もしもし》
「バンさん…!突然すみません…。あの、零って今どこにいるかわかりますか?」
《え?NEXT Re:valeのプロデューサーと焼肉に行ってくるって言ってさっき出て行ったけど。百くんは一緒じゃないのかい?》
「……。…わかりました、すみません、ありがとうございます!!」
万理にお礼を言ってから、百は慌てて立ち上がった。NEXT Re:valeのプロデューサーと焼肉に行くなら、普段から仲の良い自分たちに声が掛からないはずがない。つまり、零は――嘘をついている。
震える拳をぎゅっと握りしめ、百はそのまま楽屋を飛び出した。