第12章 未完成な僕ら
≪……もしもーし……零?≫
『…うん、どうかした?』
≪さっきラビチャしたんだけど、返事がなかったから。何してるの?≫
『千ちゃんといつものバーにいるよ』
≪え……。二人で?≫
『うん。ごめん、携帯見てなくて……』
≪……そっか。何話してたの?≫
『……聞いたよ、百』
≪………≫
『月雲のことも、全部……。なんで言ってくれなかったの、って言いたいところだけど…それは百の気持ち、千ちゃんから聞いてちゃんとわかったから、今はつべこべ言わない。でも、もうこれ以上月雲と関わるのは止めて。』
≪………でも、それじゃこのままどんどん悪い方向に転がって行く。ユキと零のこと……もちろんTRIGGERやIDORiSH7の子たちのことも、守りたいんだ。わかるでしょ?≫
『わかるよ…でもさ、それをなんで百が一人で背負い込むの?他に方法があるはずだよ。百をこれ以上危険な目に遭わせたくないの。そう思う千ちゃんと私の気持ちもわかるでしょ?』
≪……っ……≫
『お願い。もう会わないで』
≪………。……考えておくよ≫
百から返ってきた声に、電話に耳を澄ませていた千がはあ、とため息を吐いた。