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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第11章 夏の日の陽炎



「そうだ!ひとつ思い出したんだけど……」

「…っ殺してやる…!」

「許して!堪忍して!!」


咄嗟に演技を始める千と百に、了は続けた。


「お取込み中失礼。千は星影と親しいみたいだけど、たれ込んでも、すぐ僕にわかるからね。星影にはスパイを忍ばせてるんだ。それでは、かんかんかんかーん!第二ラウンド、どうぞ」


そう言い残し、了はバタン、と扉を閉めて出て行った。


「…星影にスパイ?」

「…っ、むかつく!ラウンド開始のゴングは一回なんだよ!四回は終了の時…!」

「よくあんな頭のおかしい男と付き合ってられたな…。だから、あれほど言っただろう。変な連中と関わるなって。だいたい、なんですぐに話さなかった?」

「撮影もあるし、作曲もあるから、煩わせちゃ悪いと思って…。暴露メンバーが誰かわかったら、言うつもりだったよ」

「…零には?」


千の問いに、百は罰が悪そうに俯いた。


「……零には、隠し通すつもり」

「どうして?巻き込みたくないから?…僕が零だったら、憤慨するね。彼氏が自分に黙ってこそこそ裏で動いていたら」

「…っ、仕方ないだろ!?零には心配かけたくないんだ!了さんは零を気に入ってる…前に、ユキにも言ったろ?了さんにうまくカモフラージュさせるために、星影の人と話してるところに連れて行って、って」

「それはわかるよ。あの男と零に接点を持たせるのは僕も反対だ。でも、それとこれとは別。この話はちゃんと言うべきだ」


千の言葉に、俯く百。


「じゃあ、一つ聞くけど。零がモモに黙って、誰かとこっそり裏で動いてたらどう思う?心配かけたくない、巻き込みたくないって理由で」

「…っ絶対やだ!!そんなの無理!!」

「ほら」

「あ……」

「大丈夫だよ、モモ。零のことは、モモと僕で守ればいい。バンもいる。大丈夫、安全だよ」

「ユキ……。超イケメン……!」

「知ってる。そうだ、デモが出来たよ。聴くでしょう?」

「出来たの!?撮影で忙しいのに!?えらいじゃん!もっと押すかと思ってた!すごいなー!めちゃくちゃ聴くの楽しみだよ!やっぱり、ユキは天才だね…!」

「ふふ……まあね」

「機嫌いい!自信作なんでしょ!」

「今、自信作になったんだよ」

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