第11章 夏の日の陽炎
「居場所作ってあげな。イケメンな大和も、へたれな大和もここにいていいんだから。大和がメンバーにしてあげるみたいに、大和が最低って言った大和のこと優しく褒めて、頭撫でてあげなよ。頑張れって尻叩くのは、それからでいい」
「……でも……。本当に最低なんです……ひどいことをして、言えないでいる…優しくされる資格なんてないんです…真剣に話してくれたのに。ふざけて、流して、終わらせようとした……あんな悲しそうな顔、見たことなかったのに。突き飛ばして、出てきちまった……。あの人が言う通りだ…俺は、愛されたいのに愛される努力をしない。そんな自分を恥ずかしがってるだけの、最低な人間です…」
「……それ、誰が言ったの?お釈迦様が言ったの?その台詞、胸に刺さらない人類いる……?」
「…千さんです…」
「……うっ……自分が言われたところ想像して内臓吐きそう……」
「……はは……」
百の言葉に、笑う大和。そんな大和に、百は安心したように微笑んだ。
「へへ……やっと笑ってくれた。大和ができないなら、俺が撫でてあげようか。しょぼしょぼしてる大和のこと」
「…っやめてください!」
「なんで?オレの方がお兄さんなんだぜ」
「……こんなところで、泣きたくない……」
「はは……。かわいい奴だなあ。大和のそういうところ大好き。今夜は強引に誘っちゃってごめんね。また今度、ちゃんと話そうよ。涙目になっても、問題ない場所でさ。零も心配してた。電話出てあげてないだろ」
「……零ちゃんにまで、迷惑かけれません。零ちゃんも、百さんだって、仕事忙しいのに……」
「気にしないで。大和の話、オレも、零も、聞きたいんだからさ」
そういって笑いかける百に、大和の表情が、少しだけ――柔らかく、綻んだ。