第11章 夏の日の陽炎
「……っ!」
ひどく傷ついたような顔の百に、大和ははっと我に返る。
「すみません……!俺……!」
「…っ、いい、いい!でも、そう思っちゃうよね。……ユキやバンさんや…零も、そう思ってるのかな……」
「……本当にすみません……思ってもないこと言いました。…こんな…」
「大丈夫、大丈夫!いつもの大和なら言わないってわかってるから!だから、今、普通じゃないんだよ…。わかる…?」
「…。…はい」
「平気……?疲れてるんでしょう。初めての映画撮影で、難役だもん。IDORiSH7の仕事だってあるし…」
「……疲れました、自業自得ですけど。…最悪な自分と付き合っていくのに疲れた」
「大和……。最悪な人なんていない。最悪な状況があって、不幸な人を生むだけだ。それだって、風邪みたいなもんだよ。自分を好きになれない時ってあるよね。でも、自分のこと否定ばっかりしてたら、どんどん、しんどくなっちゃうよ。自分なのに、自分の中に居場所がなくなっちゃうよ。他人の中に居場所がなくてもつらいのに。自分の中から追い出されたら、もっとつらいよ」
「…百さん…」