第11章 夏の日の陽炎
「ただいまー!」
百が玄関で元気よく叫べば、ばたばたと三月と一織が迎えてくれた。
「おかえりなさい、百さん!ごはん出来てますよ」
「引き続き、お邪魔しています。あの……洗濯物……片付けておいたんですけど……その……」
「和泉兄弟、家事万能すぎ!ん?洗濯物が、どうかしたの?」
顔を赤くする一織に、百がきょとん、と尋ねれば。
代わりに三月が口を開く。
「あー……女物の下着が入ってたらしくて…勝手に洗濯しちゃってよかったのかなぁ、って……だよな?一織!」
「は……はい……」
「あ、もしかしてオレのパンツとかと一緒に洗濯しちゃった?」
「え?はい……やっぱり、まずかったですか?」
「ううん、全然いいよ。ありがとう!でも、この事零には黙っといて!」
「「え!?」」
声を揃えて驚く和泉兄弟に、百はばたばたとリビングまで駆けて行って洗濯物を仕分けし始めた。
「零のやつ、うるさいんだ。オレのパンツと一緒に洗濯するな!ってさー。いいじゃんね、別に」
「え……ええっ!?それ…!!零ちゃんのなんですか!?じゃ、じゃあ……洗面台に置いてある化粧品とか、ああいうのは…!?」
「ああ、全部零のだよ。零以外の女のコ、家にいれたことないもん」
顔を見合わせて驚く三月と一織に、平然と答える百。
「そ、その……百さんと、零ちゃんって……どういう――」
三月がそう言いかけた、瞬間。
白い光が、ピカッと室内を照らした。