第11章 夏の日の陽炎
「陸たちの様子はどう?寂しがってるだろ、三月たちがいなくて」
運転しながら、百が言った。
『……うん。寂しそうにしてるよ、どうやったら仲直りできるかって、毎日みんなで考えてる』
「やっぱり。なんか、想像できるよ」
『三月くんたちはどう?』
「うん、オレの前では見せないけどさ…二人とも大和のこと気になって仕方ないみたい。なんとかできたらいいんだけどね…でも、大和にとってこればっかりはデリケートな問題だから……」
『そうだよね……』
二人が喧嘩をした原因は、大和の隠している秘密についてだったらしい。
百と零は、その秘密が何かを千から聞いて知っている。だからこそ迂闊にアドバイスできる問題ではなく、二人を悩ませているのだった。
「でも、大丈夫だよ。あの子たちなら、きっと分かり合えるから。そういう力を持った子たちじゃん、零が一番よくわかってるだろ?」
零を励ますように言う百。
百の言葉に、笑顔に、不安な気持ちは自然と少しずつ楽になっていく。
『……そう、だよね。うん、百の言う通り、IDORiSH7なら大丈夫!』
「そうそう!信じてあげよう、今はさ!」
『……うん!』
そう答えれば、丁度、車が寮の前に到着する。
百が運転席から降りて、助手席の扉を開けてくれた。
百に手を引かれて、車から降りる。
『あの……ありがとね、百』
「ううん、オレが零に会いたかっただけだから。オレの方こそ、ありがと!」
にこ、と笑いながら、百は零の頭をぽんぽんと撫でた。
なんだかそうしてもらうことが、やけに久しぶりに感じて。零は嬉しそうに目を細めた。
『……百……、』
「うん?」