第11章 夏の日の陽炎
それから、忙しなく数日が経った。
チャリティ番組「Friends Day」のメインパーソナリティに選ばれたRe:valeとチャリティパーソナリティに選ばれた零。新曲、冠番組共に調子の良いIDORiSH7。そして、新曲の予約数だけで過去の自分達の記録を抜きそうなほど勢いにのっているTRIGGER。
それぞれが波にのっている裏で、歯車は少しずつ、音を立てて回り始めていた。
「零、お疲れ様ー!」
『……百!?』
雑誌の撮影を終え、零が控室に戻れば。
そこには、いるはずのない百がいて。
『なんでいるの!?』
「あはは!びっくりした?今日、収録が早く終わったんだ。だから、迎えに来てみた!最近、ゆっくり会えてなかったからさ。寮まで送らせてよ」
『え、送るためだけに来てくれたの?』
「うん、そうだよ。バンさんには、もう許可とってあるから!少しの時間でも零と一緒にいられたらと思って。だめ?」
『…!…だめなわけ、ないよ…』
「よかった。じゃ、帰ろっか」
百の優しさに、胸がじんわりと温かくなっていく。
――こういうとき、なんて言ったら。百にちゃんと、伝わるのかな。
そんなことを考えながら、着替えを済ませ、百の車の助手席に乗り込んだ。