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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第11章 夏の日の陽炎




その頃、寮では――。



「ナギっち、これ……ヤマさんがいつも作ってるラーメン作ったから……」


環が差し出したラーメン(?)に、ううっと頭を抱えるナギ。


「……っ、うぅっ……それはドンブリをハイジャックしたエイリアンです……」

「すげーのびちっただけだって!」


環の作ったラーメンは、麺が汁を吸いこみ信じられないくらい太くなって渦を巻いている。


「なにそれ、脳みそみたい……。ほら、ナギ!三月がいつも作ってくれたドーナッツ!」


そう言って陸が差し出したドーナツ(?)は、炭のように真っ黒に焦げていた。


「……っ、うぅっ……それはビッグバンの時に出現したブラックホールです……」

「宇宙が始まったりしないよ!焦げてるところ剥けば大丈夫!バナナの皮と同じ!ね?」

「無理だよ、炭の匂いすんもん…。りっくんこれ、洋服ダンスにいれとけよ。虫除けになるかも」

「環、使う?」

「絶対やだ」

「……うっうっ……」


泣きだすナギの背中を、優しくさする陸と環。


「泣かないで……もうすぐ零ねぇも帰ってきてくれるし!」

「…うっ……零が帰ってくるのはとてもHappyですが……彼女の料理はDestructive!壊滅的です……!うぅっ……」

「……ナギっち、それ絶対零りんの前で言うなよ。元気出せって。ヤマさんとみっきーといつも一緒だったからへこむのわかるけどさ……」

「大和さんの撮影が終わるまでみんな帰ってこないつもりなのかな……」


三人が頭を悩ませていれば、がちゃ、と玄関のドアが開く音が聞こえてきた。


「ただいま」

『ただいまー』


帰ってきたのは、壮五と零だった。
ナギの前に置いてあるひどい料理の残骸に、壮五と零は顔を見合わせる。

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