第11章 夏の日の陽炎
『大和くん、どこにいるんだろ……』
「電話しても出ない?」
『うん……』
寮に向かう車の中で、零は不安げに携帯を見つめていた。
先程から何度も大和に電話をしているのだけれど、直留守に繋がってしまい、ラビチャにも既読がつかない状態だった。
『大和くんのことだから、ビジネスホテルに泊まるんでもしてなんとかしてるとは思うんだけど…』
「心配だよね……」
心配そうに顔を見合わせてから、はっとしたように零が口を開いた。
『……あ!』
「ん?」
『大和くんって、今千ちゃんと撮影一緒だったよね?Mission!』
「あ!そうそう、ユキと一緒だ。ほぼ毎日撮影入ってるみたいだから、明日も顔合わせるんじゃない?」
『千ちゃんに電話しよう!!』
そうして二人は、千と連絡を取り合い大和のことを頼んだのだった。