第11章 夏の日の陽炎
他愛のない話をしながら、百の家まで車で向かっていれば。通りのコンビニで、見慣れた二つの人影を見つけた。
『……?ねえ百、あれ……三月くんと一織くんじゃない!?』
「え?ほんとだ……」
何やら言い合っている二人に向かって、百はプップーとクラクションを鳴らした。
驚く二人の近くで車を停めてから、零と百が車の窓から顔を出した。
「……あ……折原さん……と、百さん……?」
「あはは!びっくりした?夜遊びしちゃだめじゃんかー」
『こんな時間に何やってるの!?一織くん、まだ学生でしょ!』
「零ちゃん……百さん……」
三月の顔が、悲しく歪む。
「……どうしたの、その顔……」
『三月くん……?』
黙り込む三月と一織。
百は心配そうに眉根を寄せる零と顔を見合わせてから、口を開いた。
「おいで。乗っていきな」