第10章 空を覆う雲
「オレ……本当に幸せ者だね」
耳元で囁くように言えば、零は呼吸を整えながら、小さく呟いた。
『それは……わた、しも……』
抱き締める腕を緩めて、零の顔を上から覗く。
眉を下げて優しく微笑んでいる彼女に、思わず口を開いた。
「……零……好きだよ、愛してる」
囁くようにそう言えば。
『……、わた、しも……百が…すき、だよ……』
途切れ途切れにそう言って、はにかんだように笑った。
花が咲いたような笑顔に、心臓がまた、とくり、と音を立てる。忙しいなあ、オレの心臓。零のこととなると本当にやらかし系。
君に出会ったあの日から
オレはこうして、毎日君に恋をしてきた。
昨日も、今日も
明日も、明後日も
この先も、ずっとずっと。
色んな君に、繰り返し恋をしていくんだろう。