第10章 空を覆う雲
「……零、もうこんな濡れてるよ」
『…っ!…るさいっ…!』
照れたように枕で顔を隠す零。
もう、なにそれ。いちいち可愛すぎるから。これ以上煽んないで。
照れてる顔がもっと見たくて、つい意地悪したくなる。枕を片手でひょいと取り上げれば、零は驚いたように目を見開いた。
『あ……!』
「だーめ。それじゃ顔が見えないじゃん」
『……!み、見ないで…!』
「やだ」
枕を床に放り投げてから、止めていたもう片方の手を撫でるようにゆっくりと動かした。
『ぁっ…!ん……はぁ……っ』
顔を見られている零は恥ずかしいのか、甘い声と吐息の漏れた口を手で覆った。
―――だから、そういうの。逆効果なんだってば。
おもむろにその手を掴み、再び彼女の唇に噛みつくようにキスをする。
『……んっ……!』
キスをしながら、下にある方の手で指を優しくねじ込めば、クチュクチュと卑猥な水音が室内に響く。感じている彼女の顔が視覚を刺激して、甘い声が聴覚を刺激する。それだけでもう軽くイってしまいそうだ。
指をゆっくり引き抜いてから、そっと唇を離す。改めて彼女の顔を見れば最後、白い肌は桃色に上気して汗ばんでいて、一生懸命に息を整えようとしている姿にたまらなくそそられる。
「……零……もうオレ、限界なんだけど」
『……っ……』
真っ赤な顔でこくこくと頷く姿があまりに可愛くて、思わず顔を歪ませる。ズボンを下着ごとおろせば、はちきれんばかりに膨張した自身が露わになった。
付き合うことになった、と報告した次の日におかりんが「おめでとうございます!清く正しい性生活を送ってくださいね!」なんて言ってこっそり渡してきたコンドームの存在を思い出して、ベッドの脇に置いてあった鞄の中をまさぐる。あの時は「まだ早いよ!おかりんのエッチ!」なんて反発したけど、今じゃ感謝しかない。心の中でおかりんに盛大にありがとうを言って、まだ少し震えている手指で不器用に装着する。
コンドーム越しでもわかる燃えるように熱くなっているそれを彼女の秘部にあてがえば、彼女の体はぴくん、と反応した。