第10章 空を覆う雲
「零、今日はベッドで寝なよ?」
歯磨きを終えた百が、零に言えば。
零はきょとん、としてから、口を開いた。
『百は?』
「オレは、ソファで寝るけど」
『なんで?』
「………なんで、って……」
――そりゃ・・・まだ一緒に寝るには早すぎるでしょ?
いや、一緒に寝たい気持ちは山々なんだけど。
自分を抑えられるかわからなくて、正直怖い。
『一緒に寝ないの?』
「………は?」
零の問いに、思わずぽかんとしてしまう。
言葉の意味を理解するのに、少し時間がかかった。
だって。
ねえ、あのさ。君、言ってる意味わかってる?
「ちょっと……それ意味わかって言ってる?」
『え?だって。私、百の彼女なんでしょ?恋人同士って普通、一緒に寝るんじゃないの……?』
「っ……!」
―――モモちゃん、終了のお知らせです……。
何回オレをK.Oさせれば気が済むんだ、この人。
「……い、いいの?」
『…やだったら、付き合ってないでしょ……』
「そ、そっか……!」
零と一緒に寝るなんて、心から待ち望んだことだけど。いざ直面してみれば、照れくさくてとてもじゃないけれど目なんて合わせられない。
先にベッドに横になった零の姿を確認してから、電気を消して。
おそるおそるベッドに入ってから、零の体に触れないように、慎重に隣に寝転んだ。
「………」
手が汗ばんで、情けなく震えている。
女の子と一緒のベッドに入るだけで、こんなになっちゃってるかっこ悪い自分。中学生か、っておもわず突っ込みたくなる。