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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第10章 空を覆う雲



「……零……!」

『な、なに……!』

「もしかして……!それ、ヤキモチ!?」

『………は!?!?』


言われてから、ぞっとする。


―――私が。百に。ヤキモチ?

さっきまでずっと、悶々としていた気持ちは。

あれは、もしかして。


ヤキモチ―――?



『………嘘でしょ、ありえない……』


呆然と呟く零の気なんて知らずに、タオルをぶんぶんと上下に振り回しながらはしゃぐ百。


「どうしようー!零がヤキモチ妬いてくれるなんて、モモちゃん超ハッピー!」

『違……!』

「でも、安心してよ」


タオルをぽいっとぶん投げてから、百は零に向き直る。
さっきまではしゃいで喜んでいたとは思えない程真剣な顔つきで、口を開いた。


「オレは零しか見てないから。ていうか、零しか見えない。困ったことに」

『………っ!』


真剣な顔でそんなことを言うものだから。一気に顔の温度が上がっていくのを感じる。


「あ、携帯見る?いいよ、零ならそういうの大歓迎!」

『……ばっ…ばかじゃないの!』

「なんで?全然、いつでも見せられるよ。ロックナンバー、知ってるでしょ?不安にはさせないようにするけど、もし不安になったら、いつでも見ていいからね」

『そういう問題じゃなくて…!……干渉されたり、束縛とか……そういうの、男の人は苦手でしょ』

「そうなの?」

『そうなのって……』

「確かに、今までは嫌だったよ。……でも、零は別。零だけは、特別」


そういって、百はそっと手を伸ばす。
びくり、と肩を揺らす零の柔らかな髪をそっと耳にかけてから、優しく頭を撫でた。

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