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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第10章 空を覆う雲




「じゃあ、明日また迎えに来るから。百くんによろしくね!」


笑顔でそういう万理にお礼を言って、零は見慣れたエントランスをくぐる。百から渡されている合鍵のカードキーでエントランスを開けて、エレベーターに乗った。


――何度も来ているはずなのに。

何故か妙に、どきどきしていた。付き合ってから来るのが初めてだからだろうか。それとも、さっきまでわけのわからないことを考えていたからだろうか。多分、その両方なのだけれど。

いや、きっと、酔っているからだ。そうに違いない、なんて自分に言い訳をして。


カードキーを通せば、ピーッと部屋を開錠する音が静かな廊下にちいさく響く。機械音にびくりと肩を揺らしてから、おそるおそる部屋の扉を開けた。

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