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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第10章 空を覆う雲



当然のように答えた万理に、零はこれでもかというくらい目を見開いている。


『な……なんで……!?』

「なんでって……。ずっと前から知ってたよ?」

『ずっと前!?付き合うことになったのは先週ですよ!?』

「え!?先週!?」


今度は万理が目を見開いて驚いている。


「……嘘だろ」

『本当ですよ!』


万理は驚愕した。


「(三年って…………。よく我慢したな………百くん……)」


心底同情してから、万理は意を決したように零の両肩を叩いた。


「付き合うことになったなら、もっと積極的に行ってあげないとダメだよ!百くんが可哀想だ!」

『えっ……?』


急に百の肩を持ち出した万理に戸惑う零。


「ほら、百くんが何してるか気になるんだろ?電話してみなさい」

『え、ラビチャじゃなくて電話ですか……?でも、万理さんとのご飯は?』

「大事なことは電話する!俺とのご飯なんて嫌というほどこれからあるんだから!明日のスケジュールは午後に詰め込むから、今日は百くんとゆっくりしておいで!ね!」


万理にごり押され、零は気が進まないながらも百に電話を掛ける。prrと着信音が数度鳴ってから、聞き慣れた声が聞こえてきた。


≪うわ!零から電話なんて珍しい!どうしたの!?≫

『え……あ、えっと』


助けを求めるように万理を見れば、口パクで「がんばれ」といわれた。


『……。……百、今日これから何かあるの?』

≪え?ああ…うん!今日はこれから友達んちで焼肉食べる!≫

『あ……そうなんだ』

≪うん。零はこれから何するの?≫


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