第2章 shaking your heart
『天とは一緒に行けない。天に寄りかかるんじゃなく、私は、私の力で家族を救いたい。小鳥遊さんの元で頑張って、恩返ししていきたいの。だから天も、私のことなんて考えないで。自分の道を進んでよ!アイドルになるのが夢だって言ってたよね?』
「よくそんな事が言えるね。ボクがアイドルになりたいと思ったきっかけだって、キミが褒めてくれたからなのに。キミと陸が、喜んでくれたからなのに」
『……天はきっと、九条が言ってるようなゼロよりももっともっと、すごいアイドルになるよ。わかるもん。ずっと、近くで見てきた。天のこと、誰よりもよく知ってる。いつだって天は私や陸を笑顔にしてくれた。喜ばせてくれた。無償の愛をくれた。だから』
「そんなこと聞いてない。……ボクはそんな言葉が欲しいんじゃない」
『……じゃあ、どうすればいいの』
「ボクと一緒に来ればいい。……それができないなら、もうボクに笑いかけないで。期待させないで。優しくしないでよ。……側にいてくれないなら―――ボクの前から消えてよ」
―――あの時の天の言葉と、真剣な眼差しは、今でも目に焼き付いて離れない。