第10章 空を覆う雲
「おはようございます。これからは零ちゃんの正式なマネージャーとしてよろしくね」
「へえ、本当に零のマネージャーになったんだ、万」
『えへへ!いいでしょー!』
そう言って、零がふふん!と百を見やれば。
「……羨ましい……いや!恐れ多すぎて無理……!零、よく平気だね!?」
『………ううん……?でもよくよく考えれば万理さんってめちゃめちゃすごい人だよね…。態度改めようかな…』
「いやいや。マネージャーだからね」
「万がマネージャー、ねえ」
「楽しませてもらってるよ。学生の頃のおまえより、全然手が掛からないし」
万理が千に言えば、零がきょとん、としながら訊ねた。
『千ちゃん、手かかったの?』
「こいつ、生活能力ないもん。朝起きれないし、連絡先管理できないし、人の顔覚えないし……」
「万が得意だったからいいじゃん」
千と万理の会話に、「わー!Re:valeの裏話だー!超興奮するー!!」なんて零の服の裾をぐいぐい引っ張りながらはしゃぐ百。
『やめてよ服伸びるから』
「だって、だって…!Re:valeの裏話だよ!?」
瞳をきらきらと輝かせる百は、まるで少年のよう。
本当にRe:valeが大好きなんだなあ、としみじみ思いながら、零は自分も、千と万理のLIVEを一度でいいから見てみたかったな、と思った。百がこんなに興奮するのだから、きっと、それはそれは素晴らしいものだったんだろう。