第10章 空を覆う雲
パーティから数日後――。
NEXT Re:valeの収録に向かう車の中で、零は悶々と考えていた。
『(……どうしよう……)』
ちら、と運転席に座っている万理を一度見てから、再び俯いた。
『(やっぱりマネージャーには言った方がいいのかな……百と付き合うことになったって……)』
零はあれ以来、ずっと考えていた。
百との熱愛報道は、デビューしたての頃から週刊誌にあることないことをちょこちょこ書かれていた。確かに仲が良いのは事実だし、プライベートでも常に一緒だったのだから無理もない。その都度「仲の良い友人の一人です」とずっと言い通してきたし、それはマスコミにも、社長にも同じだ。だって、今までは本当に仲の良い友人の一人だったのだから。
けれど。
それが事実ではなくなった今、社長と万理には言うべきなのだろうか。デビューしてから三年、そんなこととは無縁だった零はどうすればいいのかわからずここのところ毎日こうして悩んでいた。
「零ちゃん、どうかした?」
ふと、運転席からかかった言葉に、後ろに座っていた零はびくりと肩を揺らした。
『え…っ!あ、いえ……!ちょっと…その、寝不足でぼーっとしてただけです…』
「スケジュールが過密だからなぁ。出来ればもう少し睡眠時間を増やしてあげられたらいいんだけど……」
うーん、と真剣にぶつぶつ独り言を言いながら考えてくれている万理の背中を後ろから見つめていれば、スタジオに到着した。車を降りて控室へと向かって歩いていれば、見慣れた影が向こう側から駆け寄ってきた。
「わー……!バンさんだー!!」
嬉しそうに駆け寄ってきたのは百と千だ。