第10章 空を覆う雲
「なんだこの疎外感……」
「ちょっとさびしいんですけど……」
「おまえたちはいいよ……僕の場合、残されたらピンだよ。そうだ、ピン同士、仲良くコンビを組もうか、零」
『あ、それいいね』
「ちょっとちょっと!!ダメ!!それは絶対ダメ!!」
意気投合する零と千を全力で阻みに来る百。
そんな様子を見ながら、姉鷺が呆れたように言った。
「ほら、みなさい!馴れ合いすぎるといいことないのよ!グループ崩壊の序曲よ!」
そんな茶番を繰り広げていれば、慌ててやってきた岡崎が千と百に声を掛けた。
「千くん、星影芸能の星野さんが、ご挨拶がしたいって探してましたよ」
「わかった」
「百くんはツクモの方が呼んでたよ。社長さんじゃなくて、弟の……」
「ああ、来てるんだ。わかった。ちょっと顔出してくるよ」
そういって、百はちらり、と会場内を見渡してから、零の耳元でそっと囁いた。
「零、ユキから離れないで」
『……え?』
不思議そうに聞き返せば、さっきまでへらへら笑っていた百の表情は一変していて、至極真剣な顔つきだった。何か理由があるのだろうが、今は問いただすべきではなさそうだ。そう直感し、零はこくりと頷いた。
「ユキ、零のこと頼むね! ごめんね、みんな、また後で!」
そういって、百は別のテーブルへと行ってしまった。
「零、行こうか。僕の隣にいるだけでいいから。出来れば星影の人に微笑みながら」
『?…うん、わかった!』
続いて、千と零も別のテーブルへ。
二人の後ろ姿をみながら、一織が呟いた。
「…星影芸能にツクモプロダクション、さすがRe:valeですね」