第10章 空を覆う雲
「――カオルちゃん、どうしたのー?開局周年パーティだっていうのにカリカリしちゃって!」
「――あけぼのテレビの社員に振られた経験でも?」
やってきたのはRe:valeの百と千だ。
「……一番なれなれしいのが来たわ……」
「あ!三月!龍之介!イェーイ!」
姉鷺のぼやきも虚しく、嬉しそうにはしゃぐ百が三月と龍之介の肩を組んだ。
「イェーイ!」
「イェーイ!」
「「「イェーイ!イェイイェイ!」」」
「ああー、もうダメ!全然ダメ!馴れ合いの真骨頂!!」
姉鷺が叫ぶ。そんな光景を見ていた陸が思わず口を開く。
「すごい仲いい!?どうしたんですか?」
陸の問いに、はしゃぐ彼らの代わりに零が答えた。
『百の芸能界運動部に入って、その中でアイドル男子チームを作ったんだよ』
「はは……。運動部ね。モモは朝から晩までテンションが高いから大変だろう」
零の答えに、隣にいた千がぼそりと呟けば。
「そんなことないですよ!俺たちといる時は大人っぽくて落ち着いてて俺たちの方が喋ってるくらいです」
「『え………?』」
龍の言葉に、目をこれでもかと見開き顔を見合わせる千と零。
『……百が……大人っぽい……?落ち着いてる……?え……?』
呆然とする零と千の横で、一織が口を開く。
「兄さんはしっかり者ですから、運動部とやらの中でも頼れる存在でしょう?」
「そうでもないよ!甘え上手で人懐っこい後輩って感じ!みんなにかわいがられるわけだよねー!」
「え………?」
百の答えに、今度は一織が呆然としている。
「まあ、龍はのんびりしてっからな。あんまり無理言わないでやってくれよ」
「そんなことねえよ!スポーツの時はがつがつしてっし、負けん気強いし、さすがビーストって気迫だぜ!」
「え………?」
そして、三月の答えに呆然とする楽。
「「「イェーイ!イェイイェイ!!」」」
そんな四人を横目に、イェーイ!とハイタッチする三人。