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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第10章 空を覆う雲




「――だから、ナンパすんなっつってんだろ!」

「――ノー!ひどいです、ミツキ!」



そんな真剣なムードをぶち壊すかのような賑やかな声が聞こえてくる。IDORiSH7の三月とナギだ。


「IDORiSH7だ。あはは。あいつら、いつも騒がしいな。お、零もいるじゃん。おーい、こっちこっち!」

「ちょっとあんた!人の話聞いてた!?」


姉鷺の叫びも虚しく、IDORiSH7と零に声をかける楽。そんな楽を恨めしそうに睨みつける姉鷺の視線を浴びながら、IDORiSH7のメンバーと零がTRIGGERの元へとぞろぞろと駆け寄ってくる。


「あ!天に……」

「お久しぶりです、七瀬さん」

「あ、九条さん、久しぶり!……零ね……じゃなくて零さん!こっちこっち!」

「………」


壮五の影に隠れるようにしてひっそり立っていた零に、陸が声を掛ける。零は困ったように笑いながら、陸と天のところへ駆け寄ってきた。


「……零さん、お久しぶりです」


天の言葉に、零は僅かに瞠目してから、すぐに笑顔を作って見せた。


『お久しぶりです、九条さん』

「………」


どこか気まずい空気の流れる二人を、陸が心配そうに見つめている。そんな視線に気づいてか、零が明るく天に続けた。


『向こうにあったケーキ、食べました?……九条さん、好きそうだから取ってきました。ほら、陸も好きなやつ』

「うわあ、やったー!」


零がそういって手に持っていた皿を差し出せば。まさに天好みのケーキが並んでいて。思わず笑みが零れてしまう。


「……ありがとう」

『いいえ!』

「ちょっと!アットホームな空気出さないで!」


姉鷺の声など聞こえていないかのように、馴れ合い始める全員。

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