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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC




「あれ。百さんのグラス、中にカードが入ってますよ」


大和から掛けられた言葉に、百がグラスの中を覗いてみれば。


「あっ!ホントだ!誰が、いつの間に……」

『なんて書いてあるの?』


グラスの中から取り出したカードを、百が読み上げる。


「……僕の歌を、歌ってくれてありがとう……。……ゼロ……」

「「「ゼロ!?」」」


驚く声が、そこらじゅうで飛び交う。


「まさか、本物!?」

「だ、誰かのいたずらだろ…!?」

「誰かって……ゼロみたいな人、ここにいた!?」

「ドラマチック・サプライズです!マジックのようです!」

「よかったじゃん。メッセージくれたってことは、ゼロが怒ってなかったってことだろ」

「……じゃあ、記者会見会場や、今夜のライブに現れたゼロは一体……」

「ただの狂信者でしょう。時代遅れのね」

『………』


一織の言葉に、零はライブ会場裏でのことを思いだした。

天が、ゼロに扮した誰かを逃がそうとしていた――あれは、やっぱり・・・。


「零、オレ……最高に幸せだよ……っ!」


そんなことを考えていれば、百から声が掛かる。
顔をあげれば、嬉しそうに、幸せそうに笑っている百がいて。


「ユキの隣で歌えて、五周年を迎えられて。IDORiSH7やTRIGGERのみんなが支えてくれて。……それで……」


少し間を置いてから、百はゆっくり続けた。


「……零が、オレを特別にしてくれた……。こんなに幸せで、本当にいいのかな」


少し不安そうに、眉根を寄せて言う百に、精一杯の笑顔を向ける。

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