第9章 STARDAST MAGIC
「あれ。百さんのグラス、中にカードが入ってますよ」
大和から掛けられた言葉に、百がグラスの中を覗いてみれば。
「あっ!ホントだ!誰が、いつの間に……」
『なんて書いてあるの?』
グラスの中から取り出したカードを、百が読み上げる。
「……僕の歌を、歌ってくれてありがとう……。……ゼロ……」
「「「ゼロ!?」」」
驚く声が、そこらじゅうで飛び交う。
「まさか、本物!?」
「だ、誰かのいたずらだろ…!?」
「誰かって……ゼロみたいな人、ここにいた!?」
「ドラマチック・サプライズです!マジックのようです!」
「よかったじゃん。メッセージくれたってことは、ゼロが怒ってなかったってことだろ」
「……じゃあ、記者会見会場や、今夜のライブに現れたゼロは一体……」
「ただの狂信者でしょう。時代遅れのね」
『………』
一織の言葉に、零はライブ会場裏でのことを思いだした。
天が、ゼロに扮した誰かを逃がそうとしていた――あれは、やっぱり・・・。
「零、オレ……最高に幸せだよ……っ!」
そんなことを考えていれば、百から声が掛かる。
顔をあげれば、嬉しそうに、幸せそうに笑っている百がいて。
「ユキの隣で歌えて、五周年を迎えられて。IDORiSH7やTRIGGERのみんなが支えてくれて。……それで……」
少し間を置いてから、百はゆっくり続けた。
「……零が、オレを特別にしてくれた……。こんなに幸せで、本当にいいのかな」
少し不安そうに、眉根を寄せて言う百に、精一杯の笑顔を向ける。