第9章 STARDAST MAGIC
『……ありがとう、百……ごめん……さっき、嘘吐いた』
「知ってますー!……あ、オレいいこと思いついちゃった」
そういって、百がにやりと妖しげに微笑む。
零が首を傾げれば、百は人差し指を自分の頬に充てながらウインクしてみせた。
「悪いと思ってるなら、ちゅーして」
『………は!?!?』
思わず、大きな声が出てしまった。
周りにいた人たちが、何事かと次々に振り返る。
「零ねぇ、どうしたの?」
「零ちゃん、どうかした?」
続々と寄ってくる人達を適当にごまかしてから、百を睨みつければ。百はにやり、と笑いながら小さく口を開いた。
”こ・れ・で・チャ・ラ”
小さくだけれど、たしかにそう聞こえた。
『…………』
百の優しさに、思わず胸がいっぱいになる。
さっき感じたような、締め付けられるような痛みじゃない。きゅん、と心臓が踊るような、そんな胸の痛みだ。
そのとき、部屋を出て行こうとする天の視線を感じた気がした。
――でも。
今はもう、振り返らない。
目の前で笑ってくれている百に、笑っていて欲しいから。
『百のばか!』
「あはは!困ってる零、超可愛かった!」
―――そう言って笑う百を、ずっと見て居たいから。