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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC




『……ありがとう、百……ごめん……さっき、嘘吐いた』

「知ってますー!……あ、オレいいこと思いついちゃった」


そういって、百がにやりと妖しげに微笑む。
零が首を傾げれば、百は人差し指を自分の頬に充てながらウインクしてみせた。


「悪いと思ってるなら、ちゅーして」

『………は!?!?』


思わず、大きな声が出てしまった。
周りにいた人たちが、何事かと次々に振り返る。


「零ねぇ、どうしたの?」

「零ちゃん、どうかした?」


続々と寄ってくる人達を適当にごまかしてから、百を睨みつければ。百はにやり、と笑いながら小さく口を開いた。


”こ・れ・で・チャ・ラ”


小さくだけれど、たしかにそう聞こえた。


『…………』



百の優しさに、思わず胸がいっぱいになる。

さっき感じたような、締め付けられるような痛みじゃない。きゅん、と心臓が踊るような、そんな胸の痛みだ。




そのとき、部屋を出て行こうとする天の視線を感じた気がした。


――でも。

今はもう、振り返らない。

目の前で笑ってくれている百に、笑っていて欲しいから。



『百のばか!』

「あはは!困ってる零、超可愛かった!」



―――そう言って笑う百を、ずっと見て居たいから。


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