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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC




――百の優しさに、どうしようもなく、胸が苦しくなる。


きっと、彼は今のでわかったはずだ。
さっきのが嘘だった、ってことも。泣きそうな顔をしていた理由も。

罪悪感に耐えきれなくて、私は百に答えを求めた。なんてずるくて、嫌な奴なんだろう。どうしようもなく自分に嫌気がさす。こんなんじゃ、百を傷つけてしまうだけなんじゃないか?なんて思いが頭を過る。


『……百、わたし』

「ねえ、零」


言いかけようとした言葉を遮って、百は耳元で囁く様に言った。



――”「オレ、幸せだよ」”


顔をあげれば、優しく微笑む百と目が合う。
綺麗な躑躅色の瞳が、まっすぐに私を見つめていて。

まるで、”これが答えだよ”とでもいいたげな、まっすぐで、透明な瞳だった。



「余計な事は考えなくていいの!無理言ってオレのわがままに付き合ってもらってるんだから。それに、ちゃんと伝わってるよ。零がオレを、大切に思ってくれてること」


そういって、百はにっと八重歯を出してくしゃりと笑った。



――敵わないなあ

この笑顔を見ているだけで、気持ちがすっと楽になっていく。

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