第9章 STARDAST MAGIC
――百の優しさに、どうしようもなく、胸が苦しくなる。
きっと、彼は今のでわかったはずだ。
さっきのが嘘だった、ってことも。泣きそうな顔をしていた理由も。
罪悪感に耐えきれなくて、私は百に答えを求めた。なんてずるくて、嫌な奴なんだろう。どうしようもなく自分に嫌気がさす。こんなんじゃ、百を傷つけてしまうだけなんじゃないか?なんて思いが頭を過る。
『……百、わたし』
「ねえ、零」
言いかけようとした言葉を遮って、百は耳元で囁く様に言った。
――”「オレ、幸せだよ」”
顔をあげれば、優しく微笑む百と目が合う。
綺麗な躑躅色の瞳が、まっすぐに私を見つめていて。
まるで、”これが答えだよ”とでもいいたげな、まっすぐで、透明な瞳だった。
「余計な事は考えなくていいの!無理言ってオレのわがままに付き合ってもらってるんだから。それに、ちゃんと伝わってるよ。零がオレを、大切に思ってくれてること」
そういって、百はにっと八重歯を出してくしゃりと笑った。
――敵わないなあ
この笑顔を見ているだけで、気持ちがすっと楽になっていく。