• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第2章 shaking your heart





「零ねぇ、こっちこっち!!」



陸に思い切り引っ張られて、零はなぜか川のほとりに来ていた。――釣竿を持たされて。


『……わかったから。陸、無駄に走らない』


それぞれじゃんけんで役割分担を決め、零は陸と三月と一織と共に釣り班になったのである。


「うわー……零ちゃんと一緒に釣りとか……オレ、本当今日死んでもいい……」

「だから兄さん、死んでもらっては困りますから」


そんな会話を聞きながら、零は陸にぼそっと耳打ちする。


『……あの二人、兄弟なの?』

「うん、そうだよ!三月さんがお兄ちゃんで、一織が弟」

『……そっか』


二人を見ていれば、ふと、幼いころの天と陸の姿が脳裏を過る。

――陸は、天に会えたのだろうか。

会えていたとしても、天はきっと陸を突き放しただろう。


「零ねぇはさ、天にぃに会った?」

『!』


考えていたことを見透かされたかのような質問に、零は一瞬驚いた。


『……会ったよ。TRIGGERとは、何度か共演したし。陸は?会ったの?』

「……うん。でも、出て行った理由は教えてもらえなかった」


眉を下げて悲しそうに言う陸に、胸が痛む。
そして同時に、5年前の出来事が蘇る。


/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp