第2章 shaking your heart
「零ねぇ、こっちこっち!!」
陸に思い切り引っ張られて、零はなぜか川のほとりに来ていた。――釣竿を持たされて。
『……わかったから。陸、無駄に走らない』
それぞれじゃんけんで役割分担を決め、零は陸と三月と一織と共に釣り班になったのである。
「うわー……零ちゃんと一緒に釣りとか……オレ、本当今日死んでもいい……」
「だから兄さん、死んでもらっては困りますから」
そんな会話を聞きながら、零は陸にぼそっと耳打ちする。
『……あの二人、兄弟なの?』
「うん、そうだよ!三月さんがお兄ちゃんで、一織が弟」
『……そっか』
二人を見ていれば、ふと、幼いころの天と陸の姿が脳裏を過る。
――陸は、天に会えたのだろうか。
会えていたとしても、天はきっと陸を突き放しただろう。
「零ねぇはさ、天にぃに会った?」
『!』
考えていたことを見透かされたかのような質問に、零は一瞬驚いた。
『……会ったよ。TRIGGERとは、何度か共演したし。陸は?会ったの?』
「……うん。でも、出て行った理由は教えてもらえなかった」
眉を下げて悲しそうに言う陸に、胸が痛む。
そして同時に、5年前の出来事が蘇る。