第9章 STARDAST MAGIC
『万理さんが私のマネージャーに!?うわ……っ!嬉しいです…。よろしくお願いします!」
「零ちゃんのことはデビュー前からずっと見てきたからね、やっぱり思い入れが強いんだ。だからこれからは一番近くで零ちゃんのサポートをできるんだと思うと、本当に嬉しいよ。改めて、よろしくね」
万理はそういって笑いかけてから、零の頭をぽんぽんと撫でた。
零が事務所に入ってからずっと、万理には世話になってきた。何かといつも気にかけてくれて、サポートしてくれていたのは社長と万理の二人だったから。そんな彼がメインのマネージャーを担当してくれることになるなんて、零にとってはすごく嬉しいことだ。笑顔で返事をしようとすれば、視界が白と黒で遮られる。
割って入ってきたのは千と百で、驚く零とは反対に、万理は鬱陶しそうな顔をしている。
「千、今零ちゃんと話してるんだから。邪魔するなよ」
「邪魔?久しぶりに会った元相方に随分な言いようじゃないか、万。僕がどれだけ…」
「はあ、その話長い?」
何やら今度は万理と千が揉め出した。
百はといえば、むすっと頬を膨らませて零のことを見下ろしている。
『百、どうしたの?』
「どうしたの?じゃない!」
百は拗ねたように言ってから、どさっと零の隣に腰掛けると頬杖をつきながらグラスに入っていたビールを一気に飲み干した。
『あ、ちょっと百…今日飲み過ぎじゃない?それ何杯目?』
「全然!まだまだ余裕だから!」
どことなくつんつんしている百を怪訝そうに見つめてから、懐石弁当の海老を口に運ぼうとすれば。百に腕を掴まれて、彼はそのまま零の持っていた海老をぱくっと横取りした。
『ああああ!!ちょっと何すんの!?』
「…他の人とばっかり喋ってて、全然オレに構ってくれない零が悪いっ」
『返せ!私の海老返せ!!』
百の頬を思い切り摘まめば、百はごくりと海老を呑み込んでからふん!みたいな顔をしている。なんて憎たらしい顔をするんだ、なんて内心怒りながらも、百の言葉を頭の中で整理してみる。確かに、百と話すのがなんだか照れくさくて、少し避けていた節は思い当たる。