• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC



「……ね、零。……オレにチャンスを頂戴」

『え?』

「男として見れなかったら、その人のことがやっぱり好きだってなったら、ちゃんと諦める。友達に戻るから。……オレ、誰よりも零を笑顔にできる自信だけはあるから……っ!その人への気持ちを綺麗な思い出にできるくらい、零を夢中にさせてみせるから……っ!だから、その、えっと……チャンス、ください……!」


一生懸命に言葉を紡ぐ百の姿に、胸がきゅ、と苦しくなる。

チャンスというのは、それは、つまり。



『…………いい、けど……っ』

「……え?嘘!?本当!?」


百は大きな瞳を、これでもかというくらい見開きながら聞き返した。

いくら私でも、こんな時に冗談を言ったりしないよ。心の中で突っ込んでから、こくりと頷いた。


「……本当に……?オレの彼女になるってことだよ?ね、零、ちゃんとわかってる?」

『……わかってるよ……っ』

「本当に!?本当にいいの!?」

『だからいいってば!!』



しつこく聞いてくる百の言葉をぴしゃりと遮るようにいえば。百は大きな瞳をうるうると潤ませている。

映画やドラマに出てくる、ロマンチックな告白シーンとは程遠いけど。

これはこれで、百らしさ100%って感じで。

私は結構好きだ。




『……ロマンチックのかけらもないよね、百って』

「……え……っ!でも、ここ海だよ!ユキが言ってた、海か夜景はてっぱんだって!」

『海も夜景も、百が隣にいるとなんか違う』

「ひどい!じゃあオレはどう頑張ってもロマンチックになれないじゃん!」

『…いいよ、ならなくて』

「嫌だよ、オレだってロマンチックな気分を零に味あわせてあげたい……」

『大丈夫、ロマンチックなんかより、ずっといいものだから。百の隣は』


そう言って笑えば。
百は時間が止まったみたいにぴしゃりと固まった。

くるくる変わる彼の表情を見ていると、本当に飽きないなぁとつくづく思う。


『……百?もしもーし』

「……ノックアウト……K.Oです……」


そういって、はあ、と手摺に項垂れた百。


「零が可愛すぎてツライ……」

『それもう何十回も聞いた』


/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp