第9章 STARDAST MAGIC
―――なんでだろう。
百の笑顔を見てると、すっと心が楽になっていく。
どんなに疲れてる時でも、悩んでる時でも、百の笑顔を見てるだけで、全部ちっぽけに思えてくる。
「どんな形でも、零がオレを好きでいてくれてるってことがわかって、めちゃくちゃ幸せだよ…っ!だって、ほら、まだわかんないってことはさ。オレのこと、男として見てくれる可能性もあるってことでしょ?」
『え………う、うん………』
頷けば、百はやったー、なんて言いながら、八重歯を出して笑った。
ひまわりみたいに。
ああ、この笑顔、好きだ。本当に。
『………百の、笑った顔……好きだよ』
「……え……っ!?」
百は驚いたように目を見開いてから頬をほんのり桃色に染めて、一度口を開きかけて何か言おうとして、やめた。口がぱくぱく動いてて、餌をもらうときのお魚みたい。もう一度口を開いてから、百は言った。
「じゃ、じゃあ……ずっと笑ってるっ!」
『……最近の百、泣き虫なのに?』
「…っもう泣かないよ!ずっと笑ってるっ!」
『泣いた顔も好き、って言ったら?』
「めちゃくちゃ泣く!!笑って、泣いて、それずっと繰り返してる!!」
『あはは!なにそれっ』
―――きっと。
百がいなかったら。
こんなに心の底から笑えることなんて、なかったんだろう。
『……百、ありがとう……。私、恋愛できるように頑張りたい。……その、百と、ちゃんと……』
ごにょごにょとそういえば、百からの返事はない。
不安になって顔を上げて見れば、頬を桃色に染めながら右手で口元を押さえている百がいて。
「………零、やばい、超可愛い」
『……っやめてよ!』
いつもなら、はいはい、知ってる、なんて余裕で返せるのに。
つい意識して、柄にもなく照れてしまう。消えてしまいたくなるくらい、恥ずかしい。