第9章 STARDAST MAGIC
運転しながら、横目でぎょっとしている百。少し熱く語りすぎただろうか。どことなく引かれているような気がする。
自分なりに話しやすい環境を作ったつもりだったのだけれど、どうやら逆効果だったようだ。
しーん、と静まり返ってしまった車内に若干の気まずさを感じていれば、百が口を開いた。
「あ、あのさ……打ち上げまでまだ少し時間あるし、海浜公園にでも行かない?ホテルの近くだし」
『う、うん!そうだね、行こう!久しぶりに海見たいし!』
海浜公園なんて、車の中からしか見たことがなかった。
もう日も暮れて辺りも暗いし、お互いメガネと帽子装備でばっちりだ。これなら騒がれることもないだろう。
少し車を走らせれば、海浜公園に到着した。百が先に車から降りて、わざわざ助手席のドアを開けてくれる。
百は千をジェントルマンだと言うけれど、百だってジェントルマンだ。零はそんなことを心の中で思いながら、車を降りた。