第9章 STARDAST MAGIC
「ユキ~~~っ!!どうしよう、言っちゃった…!話があるって、言っちゃった…!!」
百の悲鳴にも似た声が、楽屋に響く。
千は衣装をハンガーに掛けながら、くすくすと笑っている。
「くくっ……今更?」
「だって……!ずっと、ずーっと秘密にしてきたんだよ!?」
「……そうね。三年も気付かない零もどうかと思うけどね。まあ、それに関してはモモのキャラが悪いか」
「あれでも結構、頑張ってたつもりなんだけどな……零以外の女の子に接してる時のオレをちゃんと見てほしいよ」
「モモ、意外と線引きうまいよね。言い寄ってくる女の子への交わし方、見習いたいくらい」
「オレはユキのジェントルメンな口説き方を見習いたい!!ねえユキ、なんて言えばいいかな?なんて言えば、その…零にうまく、伝わるかな」
眉を寄せながら真剣に悩む百。
千はそんな百に向かってももりんを差し出してから、口を開いた。
「そのままでいいと思うよ。モモの言葉で、伝えたら。変に格好つけるよりも、モモらしく、さ」
「モモらしく?うーん……女の子に告白なんてしたことないからわかんないよ……初めての告白が、初めて好きになった女の子なんて……荷が重すぎる」
百はどん、と机に突っ伏してから、大きなため息を吐いた。
「どうして急に想いを伝えようと思ったの?今までいくら僕が押しても、断固として伝えようとしなかったじゃないか。関係が壊れたら怖い、とかなんとか言って」
「だって……好きって言って振られたら、気まずくなっちゃうだろ……それが怖かったんだよ。振られて距離ができちゃうくらいなら、このままでいいかなって。……でも、今日なら言える気がしたんだ。零がオレたちのために色々してくれたこと、本当に嬉しかった。それで、胸がいっぱいになってさ……なんか、もう我慢できなくなっちゃった」
言いながら、百は手元にあった携帯の画面をじーっと見つめる。
ブラックオアホワイトで優勝・準優勝を飾った時に、零と千と三人で撮った待受画面。
画面の中の彼女は、胸が苦しくなるくらい、綺麗に笑ってて。