第9章 STARDAST MAGIC
着替えを済ませ、帰る準備を終えた零が楽屋を出ようと扉を開ければ。丁度ノックをしようとしていたらしい百とばっちり目が合った。
「うわっ!びっくりした……」
『何、覗き?……すいませーんここに変態がいまーす』
「ちょ!ちょっと零!違うってば!」
必死に慌てふためく百に、けらけらと笑う零。
『あ、打ち上げなんだけど、私帰ってシャワー浴びてから行くね。ライブ会場のシャワーって、なんか苦手で』
「そっか…。じゃあ送ってくよ!」
『いやいや!主役に送ってもらうわけにはいかないでしょう?もうマネージャーが車で待っててくれてるから』
「えー……あ、じゃあ迎えに行っていい?」
『いいけど…打ち上げの一次会の会場ってこの近くのホテルだよね?なら、そのまま行った方が早いよ?私のことは気にしないで、まだ時間あるしちゃんと始まる前には来れるようにするから』
「オレが行きたいの!……話したいことも、あるし……」
『あ……』
―――"「話を聞いてくれる?……ずっと、秘密にしてたこと」"
コンサートの前に、百から言われた言葉を思い出す。
『そっか……そうだよね……。ねえ、百、その話、ってさ』
「……うん」
『その……何か良くないこと?』
あまりに百が真剣な顔をしているから。そんな不安が頭をよぎってしまう。天とのことがあった後だから余計そう思えてならない。
「え……んー……それは零次第、っていうか……」
『そ、そっか……』