第9章 STARDAST MAGIC
こけら落としを無事終え、スタッフに挨拶周りをしてからそれぞれ楽屋へと戻っていく。
零が最後のライブスタッフに挨拶をし終えれば、丁度TRIGGERの三人と出くわした。
「お!零さん。お疲れっす」
「お疲れ様です!いやー、成功して本当によかったですね!」
楽と龍が嬉しそうに駆け寄りながら言った。天は二人の後に続いて、「お疲れ様です」と小さく言って軽く会釈をしてみせる。そのそっけない反応に零は困ったように笑いながら口を開いた。
『あはは…。お疲れ様!サプライズに付き合ってくれて本当にありがとう。…後、その零さんっていうのとか敬語とか辞めませんか…?二人の方が年上なのに』
「いや!そんな恐れ多い!アイドルとしては零さんの方が先輩ですし、憧れの人にそんな…」
「マジか。じゃあ遠慮なく。零、この後打ち上げ来るだろ?」
「…!ちょっと楽。呼び捨ては馴れ馴れしすぎ」
天の突っ込みに、わけがわからないと言った様子で肩をすくめる楽。引き攣り笑いをしている龍。
『あはは。むしろそのくらいで接してくれた方が気楽だからいいよ』
「だろ?俺もそう思ってたんだ。俺のことも楽でいいぜ。な、龍」
「え…!あ、うん……そりゃ零さんに呼び捨てしてもらえるのは嬉しいけど」
「だってさ。それで、打ち上げ行くだろ?」
『わかった!うん。楽たちも行くでしょ?』
零と楽のやり取りを不機嫌そうな顔で聞いていた天が、二人の会話を遮るようにして楽の腕をぐい、と引いた。
「おい、何すんだよ天」
「…行くよ。まだ挨拶回り終わってないんだから。無駄話は後にして」
「…んだよ。 悪い、じゃあ後で楽しみにしてる」
「零さ…じゃなくて、零ちゃん、また後で!」
『うん!また後で』
天に引っ張られるようにして去って行く楽と龍に手を振ってから、三人の背中を見送る。
『………』