第9章 STARDAST MAGIC
『百っ…!千ちゃんっ…!』
コンサートを終え、ステージ裏に戻れば。
零目掛けて一目散に百が走って来た。
「……零~~っっ!!」
『百っ!?わふっっ』
がっちり体をホールドされて、ぎゅううと抱き締められる。あまりに強く抱きしめるものだから、息ができなくて苦しい。
『くっ……ぐるじい…よ、百…』
「零っ…聞いててくれた!?オレ、ちゃんと歌えたよ!ユキの隣で、ちゃんと……っ…うぅっ…」
百の声に嗚咽が混じる。
抱き締められているせいで見えないけれど、百が今どんな顔をしているのかは容易に想像できた。
百の嬉し涙やら汗やらで、きっと今自分の髪の毛はびしょびしょに濡れているだろう。そんなことを思いながら、零は百の背中を優しく撫でてやる。
『聞いてたよ……最高の歌、ちゃんと届いたよ…っ!頑張ったね。お疲れ様、百』
「うん……っ!」
よしよしと背中を撫でていれば、百に続いてこちらにやってきた千が見えた。
百に抱き締められている零をじっと見つめてから、千は両手を広げた。
「零、僕にもしてよ。モモ、もういいだろ。次は僕の番」
千の言葉に、百は驚いたように振り返る。零を抱き締める腕はそのままに、涙に濡れた瞳を大きく見開いて千を見つめている。