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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC





「……人の気持ちなんて、そう簡単には変わらない」


こんな返しくらいしか、思いつかなくてごめん。

突き放せばいいのに、突き放す勇気のないボクを許して。



『………そっか……っ』



彼女の顔が、今にも泣きそうな顔に変わる


―――ああ、そんな顔、しないでよ


決意が砕けそうになるだろ


キミはずるいよ

本当に―――。




『……わかった……』



―――キミは、ボクがどれだけキミを好きか、全然わかってない


でも、本当は知ってる

わかってほしいと願いながら
わからせないようにしてるのはボクだって



「………戻らないと。百さんと千さんのコンサート、最後まで見届けるんでしょう」

『…うん……、そうだね』

「………。…そんな顔してないで。大好きな百さんと千さんの記念すべきコンサートなんだから。笑って」

『……っ……うん…』

「ボクたちの先輩でしょ?伝説になるんでしょ?この前、啖呵切ってたじゃない」

『うん……っ。うん……、そうだよね。天の言う通り。笑わなきゃ。……やっぱり、天はすごいね……本当のスターだ』


そういって、彼女は、今にも泣きだしそうな顔を、両手でぱちんと叩いた。

―――これは、幼い頃からの彼女の癖だ。



ぱちんと乾いた音が響いてから、彼女は顔を上げる。



そして、笑った。


花が咲いたように

全てを照らす太陽みたいに。



―――ボクがすごいって?

すごいのはキミだろ


いつか九条さんが言っていた
キミはダイヤモンドだって


その言葉の本当の意味が、今ならわかる気がするよ

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