第9章 STARDAST MAGIC
「……人の気持ちなんて、そう簡単には変わらない」
こんな返しくらいしか、思いつかなくてごめん。
突き放せばいいのに、突き放す勇気のないボクを許して。
『………そっか……っ』
彼女の顔が、今にも泣きそうな顔に変わる
―――ああ、そんな顔、しないでよ
決意が砕けそうになるだろ
キミはずるいよ
本当に―――。
『……わかった……』
―――キミは、ボクがどれだけキミを好きか、全然わかってない
でも、本当は知ってる
わかってほしいと願いながら
わからせないようにしてるのはボクだって
「………戻らないと。百さんと千さんのコンサート、最後まで見届けるんでしょう」
『…うん……、そうだね』
「………。…そんな顔してないで。大好きな百さんと千さんの記念すべきコンサートなんだから。笑って」
『……っ……うん…』
「ボクたちの先輩でしょ?伝説になるんでしょ?この前、啖呵切ってたじゃない」
『うん……っ。うん……、そうだよね。天の言う通り。笑わなきゃ。……やっぱり、天はすごいね……本当のスターだ』
そういって、彼女は、今にも泣きだしそうな顔を、両手でぱちんと叩いた。
―――これは、幼い頃からの彼女の癖だ。
ぱちんと乾いた音が響いてから、彼女は顔を上げる。
そして、笑った。
花が咲いたように
全てを照らす太陽みたいに。
―――ボクがすごいって?
すごいのはキミだろ
いつか九条さんが言っていた
キミはダイヤモンドだって
その言葉の本当の意味が、今ならわかる気がするよ