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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第9章 STARDAST MAGIC



「こんばんはー!Re:valeでーす…!」

「きゃあああ! モモー……!!」

「こんばんは。今夜は僕たちと最高の夜を過ごそう」

「きゃあああ! ユキー……!!」

「これまでも、これからも…最高のRe:valeをみんなに届けます!」

「五年分の感謝を込めて」

「Re:valeで、"SILVER SKY"」



曲が始まる。
そして、曲に乗って、百と千の歌声が聞こえてくる。


『……百の声だ………っ』

「生歌だ!よかった、声が戻ったんだ!よかったね、零ねぇ……って!泣いてるの!?」

『……っ、な…泣いてないしっ……ッ』

「零ねぇっ大丈夫!?泣かないで…?」

「ふふ。良かったね、零」


心配そうに顔を伺う陸に、優しく背中を撫でてくれる天。
零がごしごしと涙を拭っていれば、叫ぶようなナギの声がステージ裏に響いた。


「……シット!客席の通路に、あの時のウィザードいました!」


ナギの言葉に、目を見開く一同。あの時のウィザード―――ゼロの格好をし、IDORiSH7のライブを奪い自分のものにした挙句、記者会見でナギにスプレー缶を投げつけた、あのウィザードだ。脅迫状や小鳥遊事務所に落書きをしたのも、おそらく彼の仕業だろう。


「ゼロですか!?」

「記者会見と同じように、Re:valeのコンサートを邪魔しにきたんだ!」

「させるか!見つけて捕まえよう!」

「待って!君たちが動いたら目立つ!警備に…」


龍の言葉も虚しく、楽を筆頭にIDORiSH7とTRIGGERの二人は駆けて行ってしまった。


「…っ、ああ、もう、血の気が多いんだから…。零さんはここにいてください!」

『え!?やだ、私もいく!誰にもRe:valeの邪魔はさせない!』

「零さんは女の子なんだから。危険な目に合わすわけにはいきません。すぐに戻ってきますから、ここに」


龍に強く促され、零はステージ裏に一人ぽつん、と残されてしまった。

『………』

零はぎゅっと拳を握ってから、ステージを見る。百と千の歌声が聞こえてきて、会場内は大熱狂。こんな素敵なステージを、絶対に邪魔なんかさせない―――。


零は、龍たちの後を追いかけ、飛び出した。
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