第9章 STARDAST MAGIC
「こんばんはー!Re:valeでーす…!」
「きゃあああ! モモー……!!」
「こんばんは。今夜は僕たちと最高の夜を過ごそう」
「きゃあああ! ユキー……!!」
「これまでも、これからも…最高のRe:valeをみんなに届けます!」
「五年分の感謝を込めて」
「Re:valeで、"SILVER SKY"」
曲が始まる。
そして、曲に乗って、百と千の歌声が聞こえてくる。
『……百の声だ………っ』
「生歌だ!よかった、声が戻ったんだ!よかったね、零ねぇ……って!泣いてるの!?」
『……っ、な…泣いてないしっ……ッ』
「零ねぇっ大丈夫!?泣かないで…?」
「ふふ。良かったね、零」
心配そうに顔を伺う陸に、優しく背中を撫でてくれる天。
零がごしごしと涙を拭っていれば、叫ぶようなナギの声がステージ裏に響いた。
「……シット!客席の通路に、あの時のウィザードいました!」
ナギの言葉に、目を見開く一同。あの時のウィザード―――ゼロの格好をし、IDORiSH7のライブを奪い自分のものにした挙句、記者会見でナギにスプレー缶を投げつけた、あのウィザードだ。脅迫状や小鳥遊事務所に落書きをしたのも、おそらく彼の仕業だろう。
「ゼロですか!?」
「記者会見と同じように、Re:valeのコンサートを邪魔しにきたんだ!」
「させるか!見つけて捕まえよう!」
「待って!君たちが動いたら目立つ!警備に…」
龍の言葉も虚しく、楽を筆頭にIDORiSH7とTRIGGERの二人は駆けて行ってしまった。
「…っ、ああ、もう、血の気が多いんだから…。零さんはここにいてください!」
『え!?やだ、私もいく!誰にもRe:valeの邪魔はさせない!』
「零さんは女の子なんだから。危険な目に合わすわけにはいきません。すぐに戻ってきますから、ここに」
龍に強く促され、零はステージ裏に一人ぽつん、と残されてしまった。
『………』
零はぎゅっと拳を握ってから、ステージを見る。百と千の歌声が聞こえてきて、会場内は大熱狂。こんな素敵なステージを、絶対に邪魔なんかさせない―――。
零は、龍たちの後を追いかけ、飛び出した。