第9章 STARDAST MAGIC
「どうも、こんにちはー。ドッキリ、成功した?」
入ってきたのは、大神万理―――もとい、元Re:valeのバンだった。
「……万……!」
「……!バンさん…!!バンさんじゃないですか…!!」
驚きを隠せない千と百。
「どこにいたんだ!?ずっと探してたんだぞ…!」
「久しぶりだね、千。だめじゃないか、百くん困らせちゃ」
「おまえが突然、姿を消すからじゃないか!…っ、もう二度と会えないかと…」
「心配かけてごめんね…。小鳥遊社長に拾ってもらって、今は零ちゃんやIDORiSH7達の事務所で働いてるんだ」
『…びっくりしたよ…まさかバンさんが万理さんだったなんて』
「はは、ずっと黙っててごめんね。でも零ちゃんには本当に感謝してるんだ、いつも千と百くんの側にいてくれて、近況を聞けたから」
「万…。怪我の傷跡は?」
「大分、傷跡も薄くなったよ。ほら、前髪に隠れるとわからないだろ?」
「…幸せにやってるのか?」
「ああ。自分で歌うことはもうないけれど、毎日とても楽しくやってるよ。零ちゃんと、IDORiSH7のおかげでね」
『万理さん…』
「Re:valeのことも応援してた。ブラックオアホワイト、総合優勝おめでとう。それから、五周年も」
「ずっと、見ててくれたのか…」
「はは…。当たり前じゃないか。百くんのことも、ずっと応援してたんだよ」
「…バンさん…。オレ、バンさんのファンでした…。憧れだったバンさんの代わりに、ユキさんの隣にいていいのかって、ずっと悩んで…」
「なにを言ってるんだ。当然じゃないか」
「バンさん…」
「君のおかげで、千は音楽を続けてくれたんだ。感謝してるよ。…ありがとう、百くん」
「…っ、ありがとうなんて、そんな…!」
「万…僕を恨んでないのか?僕を庇って怪我をして、なのに、僕だけが成功して…」
「馬鹿にするなよ、千。俺をそんな男だと思ってるのか?」
「…違う。…違う、僕は…」
「わかってるよ…。俺の分も背負って、歌ってくれてたんだろう?義理堅い千のことだからさ」
「…おまえと作ったRe:valeを、この世から消したくなかったんだ…」
「わかってる。だけど、君は一人じゃない。Re:valeはもう俺と君のものじゃない。君と百くんのものだよ」