第8章 星霜の雫
「…零じゃないか…!」
九条は嬉しそうに、ゆっくりと零に近寄る。けれど、百と零を守るようにして千が九条の前に立ち塞がった。
「……。…零…久しぶりだね。今日の収録で、久しぶりに君を見れると思っていたのに残念だったよ。ふふ、やっぱり僕の目に狂いはなかった。君は僕が見つけたスターの原石…まさしくダイヤモンドだ」
「零ねぇ……?なんで……っ、もしかして…っ!?…零ねぇに近寄るな…!!」
陸の言葉など聞こえていないかのように、九条は続ける。
「でも、本当に残念だよ…二流のプロデュースのせいで、酷く霞んでしまった。あんなに目も当てられないほど綺麗だったのに…まるで、処女受胎から生まれたみたいに。君の周りは二流ばかり…僕と一緒に来ていれば、こんなことにはならなかったのに。ねえ、天?」
「………」
「今からでも遅くはない。零、僕と一緒においで。君と僕なら、ゼロを―――」
『行かない!!…っ絶対に行かない…!!』
零ははっきりとそう言ってから、九条を思い切り睨みつけた。
『小鳥遊さんの元じゃなかったら、私はアイドルになんてなれなかった。完璧じゃない、欠陥だらけの私を、小鳥遊さんは受け入れて、育ててくれた。ゼロを超える…ゼロにこだわって、ゼロの真似っこをしてるあなたとは違う…!Re:valeは、千ちゃんと百は二流なんかじゃない。今のRe:valeは、千と百の二人が作った本物のアイドルだよ……。千と百は、Re:valeは―――ゼロだって超えてみせる!!』
「零……っ…」
『新しい時代に、あなたの出る幕なんてない。過去の亡霊でしかないあなたに……新しい伝説なんて作れない。ここにいるIDORiSH7が。TRIGGERが。Re:valeが。私が。あなたが思いつきもしなかったような、新しい伝説を作ってやる!!』