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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第8章 星霜の雫



「…てんてん…?」

「天お兄ちゃん…!」

「天…お兄ちゃん…?!」


理の言葉を、環は驚いて聞き返す。


「何言ってんだ、てんてん…あんたはりっくんの兄貴だろ!理は俺の…っ」

「昔の話でしょ。今は戸籍上、理は僕の妹だ。彼女に乱暴しないで」

「てめえ…っ、わけわかんねえこと」


殴りかかろうとする環に、理が叫ぶ。


「やめて、兄ちゃん!天お兄ちゃんにひどいことしないで!」

「理…なんで…」

「兄ちゃん…兄ちゃんのこと大好きだよ。ずっと、会いたかった。でも、わたしには新しい家族が…九条さんと、天お兄ちゃんがいるの。特に、九条さんには、返し切れないくらいの恩がある。里親になってくれた人の借金を肩代わりしてくれて、わたしの面倒を見てくれて…おまけに、きれいな服を着せてくれて、海外で歌やダンスのレッスンをさせてくれたの!」

「なんで……」

「わたし、アイドルになるんだ!ゼロを超えるアイドルに!私には無理かもしれない。だけど、ゼロを超えるアイドルを育てることが、九条さんの夢なら…私はその気持ちに応えたい…っ」

「なんだよ…それ……誰なんだよ、九条って…!」



その時、後ろからコツ、コツという上品な足音と共に、声が聞こえて来た。



「―――遠い昔に、ゼロと同じ夢を見た男だよ」



そこには、何処か影のある雰囲気を纏った 一人の男が立っていた。



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