第8章 星霜の雫
「零ねぇも行くでしょ?一言…いや、一言じゃ足りない。直接言わなきゃ…あいつが奪った天にぃを取り返すんだ……!」
『………』
陸の言葉に、黙りこんでしまう零。
いつもと少し違う様子の零を、百が心配そうに見つめる。
「一織も行こう!千さんと、百さんも」
「…そうですね。千さんの相方についても何か手掛かりがつかめるかもしれませんし」
「…僕は構わないけど。モモと…零は?」
千の問いに、零は苦笑しながらこくりと頷いた。
『…うん……わかった』
「…零が行くなら、オレも行くよ」
そう言って百が席を立つと、零にそっと近寄り小さく囁いた。
「零、大丈夫?」
『百……。…うん、平気。少し苦手なだけだから。ごめんね』
「…そっか。無理しないで。何かあっても、オレがついてるから」
百の優しさに、じんわりと胸が熱くなる。
百のことを心配して来たはずなのに、どうして百に励まされている自分がいるんだろう、なんてなんだか情けなくなってしまう。
『ありがとう…百』
そうして五人は、九条を探しに控室を後にした。