第8章 星霜の雫
千の昔の相方を、こけら落としの日に千と百に会いに行かせる―――そう約束してくれた万理にひたすらに感謝の意を述べ、零はRe:valeが収録しているスタジオに向かっていた。
『(…千ちゃんは来て欲しいって言ってくれたけど……百はどう思うんだろう。私に会いたくなかったら…)』
自分のスマートフォンを見つめながら、零ははあ、とため息をついた。待ち受け画面は、二年前、千と百と一緒にはじめてのブラックオアホワイトで優勝・準優勝を飾った時に撮ったものだった。
―――懐かしいなあ。
この写真はとても思い出深くて、三人でお揃いの待受画面にしよう、なんて言ってお揃いの待受にしたっけ。まあ、気づいたら千ちゃんはしれっと違うのにしてたんだけど。
私は、携帯電話を何度か変えた今でもこの待受だけは未だ変えられずにいる。
―――千ちゃんと百の笑顔が、きらきらしていて眩しい。
昔の相方さんに、会えたら。
きっとまた、二人がこうして心から笑い合える日が来るよね―――?
神様、どうか。
百の声を、百に返して―――。
そう、祈るように願った。