第7章 心音に触れられない
陸に手を引かれ、TRIGGERの楽屋前まで来て見れば、そこにはTRIGGERの三人と千が立っていた。いち早く気づいた千が、零に声を掛ける。
「零、百の様子はどう?」
『…うん……あんまり良くない、かな…私とも一緒にいたくない感じだった』
「そうか……何が悪いんだろう……」
しんみりと顔を見合わせる千と零に、龍が続く。
「昔の相方への未練を、まだ感じ取ってるんじゃないですか?」
「未練ってわけじゃないんだけど。…何の恩返しもできずに、僕だけ成功した後ろめたさかな。もう一度会えれば、吹っ切れそうなんだけど…」
「あいつと零さんの件もあって、余計なんじゃないすか」
楽が小さく囁いてから、こっそり天を指差した。
「…そうね。モモは零にゾッコンだから。ショック受けてるかも。でも、天くんの気持ちもわかるから。こればっかりはなんとも言えないな」
うんうんと頷きながら話す楽と千を横目に、零は少し離れたところにいる天に駆け寄る。
『…天、さっきはごめんね』
「…零が謝ることじゃないでしょう。悪いのはボクだよ。ついムキになった。大人気なかったって、これでも反省してる。……ごめん。後で百さんにもちゃんと謝りに行くから」
『ううん、私もひどいこと言ってごめん…』
謝り合う二人を安心したような表情で見つめながら、陸が言った。
「天にぃ、零ねぇ、仲直りの儀式は?小さい頃は、いつもしてたじゃん!喧嘩した後にさ」
陸の言葉に、零と天は驚いたように目を見開く。そしてお互いに顔を見合わせ頬を染めてから、気まずそうに視線を流した。