• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第7章 心音に触れられない



陸に手を引かれ、TRIGGERの楽屋前まで来て見れば、そこにはTRIGGERの三人と千が立っていた。いち早く気づいた千が、零に声を掛ける。


「零、百の様子はどう?」

『…うん……あんまり良くない、かな…私とも一緒にいたくない感じだった』

「そうか……何が悪いんだろう……」


しんみりと顔を見合わせる千と零に、龍が続く。


「昔の相方への未練を、まだ感じ取ってるんじゃないですか?」

「未練ってわけじゃないんだけど。…何の恩返しもできずに、僕だけ成功した後ろめたさかな。もう一度会えれば、吹っ切れそうなんだけど…」

「あいつと零さんの件もあって、余計なんじゃないすか」


楽が小さく囁いてから、こっそり天を指差した。


「…そうね。モモは零にゾッコンだから。ショック受けてるかも。でも、天くんの気持ちもわかるから。こればっかりはなんとも言えないな」


うんうんと頷きながら話す楽と千を横目に、零は少し離れたところにいる天に駆け寄る。


『…天、さっきはごめんね』

「…零が謝ることじゃないでしょう。悪いのはボクだよ。ついムキになった。大人気なかったって、これでも反省してる。……ごめん。後で百さんにもちゃんと謝りに行くから」

『ううん、私もひどいこと言ってごめん…』


謝り合う二人を安心したような表情で見つめながら、陸が言った。


「天にぃ、零ねぇ、仲直りの儀式は?小さい頃は、いつもしてたじゃん!喧嘩した後にさ」


陸の言葉に、零と天は驚いたように目を見開く。そしてお互いに顔を見合わせ頬を染めてから、気まずそうに視線を流した。

/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp