第2章 shaking your heart
「でも、今は違う。俺、ここにいる仲間と、有名になりたい。アイドルになりたい。勿論、二人に追いつきたいって気持ちは今でも変わんないけどさ……でも、病弱で、天にぃと零ねぇの後を追うばっかだった俺にも……夢ができたんだ!俺、絶対二人に追いついてみせるから!だから……もう、何も言わずにいなくならないでよ……。俺の傍で、ちゃんと俺を見ててよ!」
――泣き虫で、弱々しかった陸。
そんな彼が、随分と逞しく育ったものだ。夢を語る陸の瞳はきらきらと輝いていて、希望に満ち溢れている。零の胸は、温かな、懐かしい感覚でいっぱいになった。
『……勝手にいなくなった私を、許せるの?陸は』
「もう俺の前からいなくならないって、約束してくれるなら」
陸の真っ直ぐな視線が、零を射抜く。
純粋で、ひたすらに真っ直ぐなその瞳は、昔と変わらない。
――このまっすぐな瞳は・・・やっぱり、彼に似ている。
『……わかった、約束するよ、陸。ごめんね……今まで』
「本当に?ううん、いいんだ。怖くて会いに行けなかった俺も悪いんだもん。零ねぇには、引越さなきゃいけない理由があったんだろ?」
陸の質問に、零が俯く。
すると、運転席から声が聞こえた。
「陸くん。その話は、私からしようか」
社長がそう言えば、一同は驚いたように目を見開いた。
「え……社長が?」
「うん」
そうして、音晴が話し始めた。